「都市のストリートファニチュアの役割」

ヨシモトポール梶@工藤 勉

韓国は初めての訪問で照明、信号、標識などのストリートファニチュアがどんな形で設置されているか非常に興味があった。
仁川空港に着くと白い斬新な道路照明灯が建っており、デザインも良い感じで設置されていた。やはり玄関口でもあるため、デザイン性の高いものを設置したように思う。

デザインされた道路照明灯 標識柱は標準品か?

仁川空港から市内までの長い道路脇には、同じデザインの道路灯が数百本乱立していた。ここまで必要かと思われるほど、延々と続いていた。製作メーカーは相当潤ったに違いないと思われるほどだった。
市内にはステンレスの街路灯が設置されており、日本は通常は鉄製だがこのステンレスの使い方にはかなり驚いた。1本当り200万は下らないのではないかと思うほど高価。    
デザインはともかく、市内の設置本数には驚いた。


  
ステンレス製デザイン照明 下柱は化粧している

信号柱には貼紙防止用の凹凸の処理や、ドライバーの視認性を高める黒黄のゼブラ巻きつけるなど日本と同じような処理をしている。

      
ゼブラの貼紙防止シート 歩行者信号の取付

また、支柱の地面部分の収まりが悪く設置用のアンカーボルトがむき出しになっているところもあった。(日本では考えられない事)一方、この部分をキチンとカバーをしているのも中にはあり、デザイン照明はその施しをしていた。

   
ベース部分のアンカーがむきだし ベース部分をカバー

ソウル市内の道路はゴミなどが散乱しており私のイメージが悪かった。そのせいか照明灯などストリートファニチュアに関心がないように感じ、仕様も乱雑に見えてしまった。

  

水原市ではニュータウンを計画している地区を視察した。広大な土地に高速道路もアクセスされたニュータウン。これからの街づくりが期待される場所。
市内には歴史的な観光地に鋳物をつかった欧州タイプの照明灯が建っていた。このデザインがこの地区にふさわしいかどうか微妙な感じで、少し違和感があった。


   
水原市のニュータウン計画地 水原市内 鋳物照明柱

私は、韓国内のJUDIのような環境、景観に携わる施設デザイナーとの交流もできればと思っている。ストリートファニチュアのデザインは全体景観の中でも必ず目に入るもので設置されたら20年以上はそこに居座る。それ故に、慎重な計画、検討が必要と思う。
東京銀座中央通りの照明柱が約40年ぶりに更新される。一時期、日本でもこの銀座型照明柱が流行り全国各地に設置されたが、似て非なるものもあり決してその地域に適したものではなかったように感じている。他の地区のデザインをそのままもってきても違和感を覚えてしまうことが多いのだ。安易なファニチュア設計は場合によっては景観を台無しにし、陳腐な状況に陥る場合がある。地域性や周りとの調和などその地区にあったものが必要で、ニュータウンなど新しい街づくりには調和されたデザインを検討できるはず。そうした設計を期待したい。そうすることによって、地区の価値が生まれ、住民にも良い環境の提供ができると思う。